心理学とプログラムの関係性：ELIZA、PARRYや類似プログラムの概要【ウェブデザイン技能検定 1級学科範囲】

2024年7月2日 2024年7月2日 5分51秒

タスラ t3l

心理学とプログラムの関係性は人間の思考や行動を模倣するための対話型プログラムの開発において重要な役割を果たしてきました。
この分野で特に有名なのが、1960年代から1970年代にかけて開発されたELIZAとPARRYです。
これらのプログラムは人間との対話を通じて特定の心理状態を再現することを目指しています。

本記事ではELIZAとPARRYを中心に、類似するプログラムについても紹介します。

こういった内容はウェブデザインなどには関係ないと考える方も多くいらっしゃるかもしれませんが、現在のAI技術にかなりの影響を与えている内容だと思います、だんだんとAIに仕事を取られてしまってきている現状にあるなか、心理学とプログラムの関係性を理解しておくことで、効率が良いプロンプトが制作できるようになったりとAIに仕事をとられる立場ではなく、AIを使いこなせる立場になる一歩に繋がりますので、是非知識を深めていただけたらと思います。

ELIZAとは

ELIZA は、1966年にジョセフ・ワイゼンバウムによって開発された初期の自然言語処理プログラムです。ELIZAは、特定のパターンに基づいてテキスト入力を分析し、応答を生成します。
特に有名なのが心理療法士を模倣する「DOCTOR」スクリプトです。
このスクリプトではユーザーの発言に対して質問を返すことで、まるでカウンセリングを受けているかのような対話を実現しました。

特徴:

パターンマッチングを使用して入力を解析。
特定のキーワードに反応し、テンプレートベースの応答を生成。
初期の人工知能の試みとして評価される。

例:

ユーザー: 私は悲しいです。
ELIZA: あなたはなぜ悲しいのですか？

PARRYとは

PARRY は、1972年にケネス・コルビーによって開発されたプログラムで、統合失調症患者の思考パターンを模倣しています。
PARRYはELIZAの技術を基により複雑な心理状態を再現することを目指しました。
特に、被害妄想のある患者の対話をシミュレートすることで有名です。

特徴:

統合失調症患者の思考パターンをシミュレート。
ELIZAよりも複雑な応答生成アルゴリズムを使用。
精神医学研究の一環として評価される。

例:

ユーザー: 最近、誰かが私を監視しているように感じます。
PARRY: 監視されていると感じるのはどんな状況でですか？
ユーザー: 家にいる時や外出している時、常に誰かが見ている気がします。
PARRY: その感覚はいつから始まりましたか？特定の出来事がきっかけでしたか？

類似するプログラム

以下は、ELIZAとPARRYに類似する対話型プログラムのいくつかです。

ALICE (Artificial Linguistic Internet Computer Entity)

開発: 1995年、リチャード・ウォリスによって開発。
特徴: AIML（Artificial Intelligence Markup Language）を使用して対話を構築。自然言語処理の研究に広く使用される。

例:

ユーザー: こんにちは。
ALICE: こんにちは！今日はどうでしたか？

Jabberwacky

開発: 1980年代後半、ロロ・カーペンターによって開発。
特徴: ユーザーとの対話を通じて学習する機械学習ベースの対話型プログラム。

例:

ユーザー: あなたは何を考えていますか？
Jabberwacky: 私はあなたについて考えています。

Cleverbot

開発: 2006年、 Jabberwackyと同様にロロ・カーペンターによって開発。
特徴: Jabberwackyの技術を基にインターネットを通じて大量の対話データを学習し、より自然な対話を実現

例:

ユーザー: あなたはAIですか？
Cleverbot: そうです、私はAIです。

心理学とプログラムの関係性

心理学とプログラムの関係性は、以下のような点で重要です。

人間の思考と行動の模倣:
- ELIZAやPARRYのようなプログラムは、人間の思考や行動を模倣することで、心理学の研究に寄与してきました。
治療とカウンセリングの支援:
- これらのプログラムは、心理療法やカウンセリングの支援ツールとしても活用されています。
  例えば、初期のカウンセリング訓練の一環として使用されることがあります。
自然言語処理の進歩:
- ELIZAやPARRYの技術は、現代の自然言語処理技術の基礎を築きました。
  これにより、現在のAIチャットボットや仮想アシスタントの開発が進展しました。

まとめ

心理学とプログラムの関係性はELIZAやPARRYのような対話型プログラムの開発において重要な役割を果たしています。
これらのプログラムは人間の思考や行動を模倣することで、心理学の研究や治療の支援に寄与してきました。
ALICE、Jabberwacky、Cleverbotなどの類似プログラムも含め、これらの技術は現在の自然言語処理の進歩に大きく貢献しています。

そして現代のAIへもかなりの影響を与えている内容になりますので、記事の初めにも書きましたがAIに奪われる立場ではなく、AIと共存してより良いものを制作していけるように知識・理解を深めていくことが重要です。